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恩師 [Seasons]

「少しぐらい失敗しても大丈夫。植物は大概の事は許してくれるからね。」
〜恩師Paulさんの言葉より〜

ガーデナーは物事を始める順序がいつも間違っている。カメラをしよう、そうだ、デジタル一眼レフだ。花を育てよう、まずオールドローズだ。ガーデニングを始めよう、まずガーデンデザイン勉強だ、、、。始める時はただ単純に純粋にそうしようと思って始めるのだが、しばらくして物事の順序から大きく逸脱している事に気づく。いつもそうだ。

ガーデニングを始めるにあたっても、まずガーデン・デザインやプラン作りの本を買ってきて、妄想にふけっていた。でも今ひとつ気に入らない。何もわかっていないくせに、好みだけは一人前にはっきりしていて本当にタチが悪い。その中でふとある庭の写真に目が止まった。

((あった、これだ。))八ヶ岳のナチュラスティック・ガーデンと題されたその写真こそが、恩師Paulさんことポール・スミザー氏デザインの庭だった。

デザイン・コンセプトの説明を読んでますます気に入る。
「その地域の自然風景に溶け込む」、「自然の中に育つ野生の草花との共生」、「周りの環境と相談しながら年月をかけて作り込む庭」、「手間をかけずに」「その地域にあった丈夫な多年草や球根や樹木を選び、、、」、「原種チューリップ、、、、毎年植え替えなくてもよい、、、ランダムに植えると自然に見える」

早速ネット検索をし、「有限会社ガーデンルームス」のページを見つける。そして同氏の私庭がある八ヶ岳で、講座を実施している事を知る。((八ヶ岳は遠いなあ、、、))一挙に膨らんだ希望は、しなしなとしぼんだ。

それからしばらくたったある日。ガーデナーは、移動中の電車の暇つぶしにたまたま手にした新聞仕立てのチラシを読んでいた。沿線の花の見所などが書いてある。ふと「ポール・スミザー、講座」の文字が目に飛び込む。ホームページで見た講座を、宝塚ガーデンフィールズ「Seasons」で開講するというのだ。((あの庭もこの人だったんだ))驚きと喜び。申し込もうかと思うが、ふと不安がよぎる。((初心者なんだけど、、、))あまりの嬉しさに忘れていたが、その時に初めてガーデナーは、自分が全く知識のないずぶの素人である現実に気づいた。

珍しく躊躇したあと、電話で問い合わせる。「初心者なんですけど、ついていけるんでしょうか?」考えてみれば、受講資格もないので、先方が断る訳もない。受講料だけ支払えば、手続きは済み、めでたく講座の初日を迎える。

外見は少し頑固そうな庭師を彷彿とさせるイギリス人のPaulさんは、話してみると日本語のうまい、とても気さくでユーモアあふれる楽しい人だった。茶目っ気たっぷりな語り口で、わかりやすく植物や植栽の仕方を自らの体験談をまじえながら解説して下さった。植物の名前を学名でおっしゃるので、最初のうちは聞き取りに苦労はした。でも慣れるにつれ、学名が唯一その植物を特定する世界共通の名前で、重要である事を知る。

品種を特定するには英語の学名が唯一の手がかりだ。カタカナだけだと読み方や表記の仕方の違いで、混同してしまう。さすがに学名の暗記はあきらめたが、園芸店で買う時に苗についてあるラベルを見て、本当に欲しい品種かどうかを調べるのには役立つ。店によっては名前の間違った手書きの札を立てて、平気で売っている事もある。

その講座で学んだ事は、先輩ガーデナーでも目から鱗が落ちることばかりだった。イギリスのガーデニング文化の歴史と日本の園芸文化との大きな違いを肌で感じた。(*園芸とガーデニングとの違いについては、いむらさんがブログで説明されていますので、省きます。参照→http://blog.so-net.ne.jp/rimura2/2005-09-01

歴史をかいつまむと、他のヨーロッパ諸国が貴族中心の庭園文化を築いたのに対し、イギリスでは近代にジェントリーgentryという貴族とは異なる中産階級の富裕層が育ち、そのジェントリーが庭園を作っていく。それが現在のイングリッシュ・ガーデンの原型を築き、やがて庶民にも広まりガーデニング文化が大きく花開く。

日本でも、樹木と石組みを中心とした庭園は特権階級のもので、専門の庭師がその造園技術を磨き、庶民は鉢植えを中心に草花を育て、園芸文化へと発展していく。日本の庭師は、世界でもすぐれた樹木の剪定技術を持つが草花の専門知識を持たず、その一方で、園芸家は庭園を作らず、丹念に特定の植物を美しく育て上げる栽培技術を持つようになる。ついぞ日本には、両者(造園と園芸)にまたがるクロスボーダー的な領域、gardening(ガーデニング)という概念は育ってこなかった。概念がない所に固有の言葉はない。gardeningはガーデニングなのである。

ガーデニング大国、イギリスの庭園にはその昔プラントハンター(植物採集家)達が収集した、日本の植物が多用されている。Paulさんは、日本にあるいわゆる英国風庭園には外国植物ばかり使われている事を嘆いておられた。イギリス人のPaulさんからは、日本人が忘れていた、日本に合う植物を使った、日本人が目指すべきガーデニングを教わった気がする。

ただ実践するのはとても難しい。恩師に習った事を思い出しながら、ガーデナーはつくづくそれを実感している。


3月に訪れた時のSeasons  球根が目立っていたが、夏にはイネ科植物が中心のグラスガーデンに様変わりする。



















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コメント 12

めんたい

イギリスのガーデニング、日本の園芸文化はそんな違いがあったのですね。
歴史を知るっていいですねw
またおべんきょうさせてもらいましたc⌒っ*゚ー゚)φ メモメモ...
きちんと考えて庭造りをしないといけないんですね。
家の花壇、何も考えずにぽいぽい植えてしまっています。
心配になってきました。・゚・(ノ∀`)・゚・。
by めんたい (2006-04-07 18:52) 

凄い勉強家なんですね・・・実際自分でガーデニングするのは一つの主張だと思いますが、自分の場合は綺麗であればなんてのは良くないんでしょうか。
by (2006-04-07 20:28) 

せり

>めんたいさんへ
私も最初は好きな花を好きなようにぽいぽい植えてました。一年経って、うまく育っているものとそうでないものが出てくるので、育たないものはあきらめて、新しいものと替えていく作業を今しようとしています。プロでも、やはり一年二年と経ってから様子を見て、やり変えられているので、きっと大丈夫ですよ。楽しく植えて育てるのが一番です(と自らにも言い聞かせる)。お越し頂き有り難うございます。
by せり (2006-04-07 21:23) 

せり

>g_gさんへ
いえいえ、私の場合順序を間違えているだけです。先に園芸書を見て、育て、実践してから講座を受ければもっとよかったと思います。私の場合、先にデザインだの庭園文化だのそんな本から読んでしまってて、実践が全く伴っていません。おっしゃる通り、最終的に自分にとって綺麗だと思えるお庭が作れればいいんだと思います。でも花の趣味もころころ変わるし、統制をとるのは難しいですね^ ^;ご訪問&コメント有り難うございます。
by せり (2006-04-07 21:33) 

絵瑠

せりさん、こんばんわ。
凄い、勉強家ですね。何事も自分なりの勉強の方法で
良いのではないでしょうか。順序はどうでも・・・。
これからの季節、植物との対話が楽しいですね♪
by 絵瑠 (2006-04-07 21:46) 

いむら@fintopo

トラックバック、どうもです。
久しぶりに読み直して、我ながらいいこと書いてるじゃん、と自画自賛してました。^o^;;
ほんとは続きがあるはずなんだけど、まだ書けてません。まぁ、そのうちに・・・

ガーデニングブームが落ち着いて(定着して?)しばらく経ちますから、そろそろ次の動きが出てきてもいいかなぁ、とか思っていたりします。
by いむら@fintopo (2006-04-07 22:44) 

ゆうこ

>せりさん
勉強させてもらいました~(^0^)
私はお勉強が苦手なので、本を買っても文章は読まず写真ばっかり見てます(笑)段階を踏むのが苦手なので、せりさんの言う「順序」からは大きく逸脱。
ガーデニングなんて言葉が似合わない感じです。
by ゆうこ (2006-04-08 00:54) 

せり

>皆様、ご訪問&コメント有り難うございます。
*絵瑠さんへ  いつも優しいお言葉に励まされています。今から思うと無謀だなと反省する事がよくあります。これからは実践編という事で、絵瑠さんのお庭を見て勉強していきます。これから手入れも大変になりますが、植物達もおしゃべりになってくるので楽しいですね。

>いむらさんへ  そうですよ、とってもいい事書いてらっしゃるんですよ。私はあんなにわかりやすく書けません。他にもあると思うのですが、まだ読み切れていません。またしつこくトラックバックしてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。続きも楽しみにしています。

>ゆうこさんへ  まだちゃんと植物を育てる前の話なので、最近は写真しか見てませんし、ゆうこさんを始め、皆様のブログで勉強させて頂いてます。実際にお庭で実践されていることを見るのが一番の勉強だな〜と思います。久々に昔読んだ本を出してきて、記憶を辿ってみました。ガーデニングという言葉を私は言い訳に使ってます。鉢植えがうまく育たなくても、園芸じゃないから、ガーデニングだから、みたいな感じで、、、。^ ^;
by せり (2006-04-08 07:39) 

チョコまる

昨日、NHKの「趣味の園芸」でポールさんを見ました。せりさんのブログで何度もお名前を聞いていたので、なんだかすでに知っている人のような気がしました(あらポールさん、てな感じです)。
我が家の狭い庭ですら、どんな庭にしたいのかいつも悩みます。ガーデンデザイナーって偉大です…
by チョコまる (2006-04-08 09:00) 

せり

>チョコまるさんへ
番組を録画したままで、まだちゃんと見ていませんでした。チョコまるさんに教えて頂いて、慌てて見るとPaulさんがワンポイントで出演されてました。全然知らなかったです。チョコまるさんの御陰で見逃さずに済みました。^ ^;狭いって思っても、意外とたくさん植えられますものね。素人はついつい狭い所に、少しでも色んな花を植えたくなります。花や庭の趣味も一年経てば変わったりしますしね。だから楽しくもあります。ご訪問&コメント有り難うございました。
by せり (2006-04-08 23:28) 

みなみ

Paulさんのこと、先に出してしまってすみませんでした。
恩師と聞いてビックリしてしまって。。
夫が付録でもらってきたハーブの本が偶然ポールさん著のもので
親しみがあり、またBSでも番組を持っていて(グラス類を植えようという
日でしたよ!)その気さくなお人柄や庭に対する考え方が違うなぁと
思ってました。直接お会いできたなんて羨ましいです~。
by みなみ (2006-04-09 11:17) 

せり

>みなみさんへ
違うんですよ。みなみさんのコメントを頂いたんでひらめいて、この記事書いたんです。そう言えば書いてなかったなあ〜みたいな感じで。逆に先に言って頂いてよかったんです。有り難うございました。ハーブの本を出しておられましたか?知らなかったので、また教えてくださいね。BSフジの番組は見られないので、DVDを買いました。でも全部は見切れてません。また宝塚でも講座を開かれるそうなので、一回ぐらいお顔を見に行こうかなと思ってます。みなみさんのお近くでも講演や講座があるといいですね。ご訪問有り難うございました。
by せり (2006-04-09 17:26) 

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